アミノ酸にはさまざまな種類がありますが,タンパク質を構成する主要なアミノ酸は,ほとんどがα-アミノ酸です.α-アミノ酸とは,アミノ基とカルボキシ基が同じ炭素,つまりα炭素に結合しているアミノ酸のことです.NCBI Bookshelfでは,タンパク質を構成するα-アミノ酸は,アミノ基とカルボン酸官能基が1つの炭素原子を隔てて配置され,通常はキラルな炭素を持つと説明されています.
α-アミノ酸の構造
まず,カルボン酸の炭素を基準に考えます.カルボキシ基 -COOH の隣にある炭素がα炭素です.そのα炭素にアミノ基 -NH2 が結合しているものがα-アミノ酸です.構造式では次のように表せます.
H2N-CH(R)-COOH
ここで,CH(R) の炭素がα炭素です.この炭素には,アミノ基,カルボキシ基,水素原子,R基の4つが結合しています.R基が変わることで,グリシン,アラニン,バリン,フェニルアラニンなどの違いが生まれます.
| グリシン | アラニン |
|---|---|
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なぜ「α」と呼ぶのか
有機化学では,ある官能基の隣の炭素をα炭素,その次をβ炭素,さらにその次をγ炭素と呼ぶことがあります.アミノ酸の場合,カルボキシ基を基準にして,すぐ隣のα炭素にアミノ基が結合しているため,α-アミノ酸と呼ばれます.
| アミノ基の位置 | 名称 |
|---|---|
| α炭素(カルボキシ基の隣) | α-アミノ酸 |
| β炭素(2つ隣) | β-アミノ酸 |
| γ炭素(3つ隣) | γ-アミノ酸 |
タンパク質の構造とα-アミノ酸
タンパク質を構成するアミノ酸がα-アミノ酸であることは,タンパク質の構造を考えるうえで重要です.α炭素を中心に,アミノ基側とカルボキシ基側がペプチド結合でつながっていくため,タンパク質の主鎖には一定の繰り返し構造が生まれます.NCBI Bookshelfでは,タンパク質はアミノ酸がペプチド結合でつながったポリペプチドであり,アミノ酸配列がタンパク質の一次構造を決めると説明されています.
構造式での見分け方
α-アミノ酸を構造式で見るときは,次の3点を確認すると分かりやすくなります.
- カルボキシ基
-COOHを見つける - その隣の炭素(α炭素)を確認する
- そのα炭素にアミノ基が結合しているかを見る
この3段階で,その化合物がα-アミノ酸かどうかを判断できます.
キラル中心との関係
多くのα-アミノ酸では,α炭素がキラル中心になります.α炭素には4種類の異なる置換基が結合しているため,立体異性体が存在します.ただし,グリシンだけはR基が水素であり,α炭素に水素が2つ結合する形になるため,キラル中心を持ちません.この点は,アミノ酸の立体化学を学ぶときに非常に重要です.PubChemでも,グリシンは唯一のアキラルなタンパク質構成アミノ酸として説明されています.
まとめ
α-アミノ酸とは,カルボキシ基の隣にあるα炭素にアミノ基が結合したアミノ酸です.タンパク質を構成する標準的なアミノ酸は主にα-アミノ酸であり,この共通骨格がペプチド結合やタンパク質の一次構造につながります.構造式を見るときは,カルボキシ基,α炭素,アミノ基の位置関係を確認することが重要です.